- シニア調査
作成日:2025.01.15 最終更新日:2025.01.20
シニア・高齢者向けアンケート手法や依頼する会社選びのポイントを解説
シニア層へのWebアンケート調査では、豊富な人生経験に基づく貴重な意見を得られます。一方で、回答のしづらさや本音を引き出す難しさが、課題となっていることも事実です。とくにインターネットを活用した調査では、デジタルツールの特性を理解したうえでの工夫が求められます。
そこで当記事では、60代以上のシニア・高齢者層の特性を踏まえた「効果的なアンケート調査」の実施方法について解説します。
目次
Webアンケート調査(Web調査)とは?
Webアンケート調査(Web調査)とは、インターネットを通じて、アンケートの回答を収集する調査方法です。短期間で大量のデータ収集が可能であり、すぐに回答をチェックできます。また、スマートフォンやパソコンから、24時間いつでも回答できる利便性の高さも特徴です。
Webアンケート調査の主な実施方法として、以下の内容が挙げられます。
- 調査会社の登録モニターへの配信
- 自社サイトでのポップアップ表示
- メールマガジン読者への依頼
近年では、画像や動画を用いた質問の設定や、回答に応じて質問を分岐させる機能など、デジタルならではの多彩な調査が可能となっています。
Webアンケート調査を行うと何がわかる?
Webをはじめとした「各種アンケート調査」を実施すると、商品・サービスに対する本音や、ニーズを把握できます。市場理解と商品開発に向けた情報収集はもとより、「顧客の実態調査」や「商品やサービスの認知度を測定」など、幅広い目的で利用できるでしょう。また、広告やキャンペーンの効果測定にも効果的です。
アンケート調査では、数値で表せる定量的なデータ(例:利用頻度)と、数値で表現しにくい定性的なデータ(例:サービスへの期待)を収集することが大切です。双方を知ることで、正確な理解が可能となり、効果的なビジネス戦略につながります。
また定期的に調査することで、時系列での変化や傾向が明確になり、マーケティング施策にも活用できるでしょう。
シニア向けWebアンケート調査の現状と課題
シニア層のインターネット利用が増加する昨今において、Webアンケート調査の重要性も高まっています。しかし、シニア向けのWebアンケート調査には、課題があることも事実です。主な内容は、以下の通りです。
シニア層のインターネット利用状況
令和5年度における総務省の調査によると、インターネット利用率は「60代で9割以上」「70代で約7割」「80歳以上でも約4割」に達しています。スマートフォンの普及や、コロナ禍におけるオンラインサービス活用の増加により、年齢層による利用率の差は縮小傾向です。
また60代後半から70代前半の層では、オンラインショッピングやSNSの利用も一般化し、デジタルツール利用へのハードルも低下しています。ただし、利用頻度や使いこなす度合いには個人差もあります。
図の引用元:総務省_令和5年通信利用動向調査の結果
従来型調査との比較
Webアンケートは、従来の紙や電話での調査と比較すると、時間や場所を問わず回答できる特徴があります。対面での緊張感がないため、本音を引き出しやすく、プライバシーに関する質問でも率直な回答が期待できるでしょう。
またWebアンケートの場合、画面のコントラスト調整・音声での読み上げ・入力補助機能など、デジタルならではの機能を実装できます。一方で、インターネットに不慣れな層への対応や、誤操作による回答ミスの防止など、技術面での工夫も欠かせません。回答の質を維持すべく、質問文のわかりやすさなどにも注意が必要です。
シニア特有の回答傾向がある
シニア層の回答には、シニア特有の内容が見受けられます。たとえば「自由記述式の設問」では、具体的な体験談や詳細な意見が寄せられるケースも多いでしょう。また、社会貢献や地域活動に関する設問には、70代以降の回答者が関心をもちやすい傾向にあります。健康や経済面での質問には慎重な回答が多い一方で、商品やサービスへの改善提案では、建設的な意見が目立つでしょう。
とはいえ、傾向はあくまで一般論であり、年代・性別・ライフスタイルなどによって回答は異なります。
シニア・高齢者への調査方法例
シニア・高齢者に対する調査方法は、「インターネット調査」と「オフライン調査」に分類できます。インターネット調査はパソコンやスマートフォンを使用し、オフライン調査は面談や電話など直接的な方法で行います。両者の具体的な内容は、以下の通りです。
インターネット調査
まずはインターネット調査について、2つの方法を解説します。
Webアンケート調査
全国のモニターから、幅広い意見を効率的に集められる調査方法です。年齢・地域・ライフスタイルなど、詳細な属性設定が可能であり、新商品の評価や競合製品との比較、戦略の検証などに活用できます。
短期間で大量のデータ収集ができ、最短1日での収集も可能です。また、回答者が自分のペースで回答できるため、じっくりと考えた意見を得やすいでしょう。
オンラインインタビュー調査
画面共有の機能を活用しながら、生の声を聞き取ることが可能な調査方法です。質の高いコミュニケーションが可能であり、表情の観察や詳細な商品説明もできるでしょう。時間や場所の制約が少なく、全国各地から意見を集められます。新商品の開発や既存商品の改良時など、詳細な意見収集にも適します。
オフライン調査
つづいて、オフライン調査に関する3つの方法を紹介します。
対面式インタビュー
会場や自宅などで「直接のインタビュー」を通じて、本音を引き出す調査手法です。表情や態度といった非言語情報も把握できるため、深い洞察も期待できます。1対1の個別インタビューはもとより、グループインタビュー形式での意見収集も可能です。
電話
電話で行う調査手法であり、インターネットに不慣れな人にもアプローチできます。調査員との「1対1の会話形式」で実施するため、回答者の理解度に合わせた説明が可能です。リアルタイムで回答が得られますし、補足質問も容易にできるでしょう。緊急性の高い調査や、基本的な意向の確認に適します。
郵送調査
質問票を郵送で配布・回収する、従来型の調査手法です。インターネットや電話が苦手なシニア層にも、参加してもらいやすいでしょう。回答者が自分のペースで余裕をもって回答できるため、じっくりと考えた意見を得やすい傾向にあります。郵送調査では、写真や図を用いた説明資料も同封できます。
Webアンケート調査会社の選び方
Webアンケートを行う調査会社は、「単にアンケートの仕組みを提供する会社」と「アンケート設計から分析まで一貫してサポートする会社」の2種類にわけられます。質の高い調査結果を得たい場合には、適切な設計・分析の可能な後者がおすすめです。後者を選ぶ際のポイントは、以下の通りです。
モニター数
アンケート調査の信頼性を確保するには、十分なサンプルが不可欠です。一般的な調査では、最低でも300〜500サンプルが必要とされます。とはいえ、単にモニター数が多ければよいわけではなく、自社の調査対象に合致するモニターの有無が重要です。モニターの質も大切であり、定期的なクリーニングや不正回答の排除を行っているかどうかも、チェックしたいポイントです。
料金体系
料金体系は、「基本料金とオプション料金のみ」や「回答者数に応じた従量料金」など、会社によって構成が異なります。また、「単純に回答収集だけできればよい」「設問設計の支援や分析まで依頼したい」など、自社のニーズに応じて選ぶことが大切です。ほかにも、予算に応じたカスタマイズの可否や、追加料金が発生する条件なども確認するとよいでしょう。
納期
調査会社選びで重要なのが、明確な納期の提示と、迅速な対応力です。一般的なWeb調査では回答収集に1週間、データ分析に1週間程度を要します。平均的な調査時間より、あまりに遅い納期を提示される場合には、調査の利用を避けたほうが無難でしょう。
また、「スピード回答オプションの有無」や、「分析レポートの中間報告対応」など、柔軟な納期対応ができる会社かどうかも重要な判断材料になります。
サポート体制
質の高い回答を得たい場合には、専門家によるサポートを実施する調査会社を選ぶことが大切です。また、「設問の設計段階」「調査中」「アンケート結果の集計後」など、各段階でどのようなサポートが受けられるかも確認しましょう。また、担当者の経験年数や、類似案件の実績などもチェックします。システムトラブル発生時の対応窓口や、担当者不在時の引継ぎ体制なども、スムーズな調査実施のために確認しておくとよいでしょう。
納品形態
データの納品形態は、単純な集計結果から詳細な分析レポートまで、多岐にわたります。そのため、「クロス集計の可否」「自由回答の分類整理における可否」「図表での可視化」など、どこまでのアウトプットが含まれるかも確認することが大切です。また、データの二次利用の可否や、追加分析の対応可否についても事前に確認しておくと、安心して調査を依頼できます。
シニア向けWebアンケート調査で本音を引き出す7つの具体策
シニア層向けのWebアンケートでは、シニア・高齢者層の特徴を踏まえたうえで、本音を引き出す工夫が必要です。ここでは、本音を引き出すための「7つの具体策」について解説します。
見やすいデザイン設計
シニア層は、加齢に伴う視力の低下を自覚するケースも多く、画面の視認性に配慮が必要です。たとえば、小さな文字やコントラストの低い配色だと、回答意欲を低下させる原因にもなります。文字サイズは最低でも16px以上とし、見出しはさらに大きめのサイズにするとよいでしょう。背景色と文字色は差をつけ(例:白背景に黒字)、読みやすさを意識します。画面のスクロールも最小限に抑え、重要な情報は上部に配置するとよいでしょう。
直感的な操作性の確保
インターネット操作の不安を解消するため、シンプルで直感的なインターフェースが求められます。クリック領域は十分な大きさを確保し、ボタンやリンクは識別しやすいデザインにします。
操作手順を画面上部に常に表示させるなど、進行状況が把握しやすいような工夫も大切です。戻る・進むボタンの配置は統一し、誤操作防止のための確認メッセージ表示させる方法もおすすめです。
わかりやすい説明文の作成
シニア層は、若年層と比較すると、専門用語や外来語に苦手意識をもつ人が多いでしょう。そのため、回答への不安や戸惑いを取り除けるよう、わかりやすい説明文が必要です。
専門用語や外来語は可能な限り避け、必要な場合は括弧書きで補足説明を加えます。また、具体例を交えた説明も効果的です。文章は簡潔な一文を心がけ、長文になる場合には、適切な文字数で分割しましょう。
適切な質問設計
シニア層は、多くの情報を処理することに負担を感じやすく、抽象的な質問に戸惑いを覚える傾向にあります。そのため、段階的なアプローチで質問するとよいでしょう。また年齢を重ねるほど、「過去の話のほうが回答しやすい」という特徴があります。
そのため、導入部では「思い出しやすい具体的な質問」から始め、徐々に意見や感想を聞く質問へと展開します。一問一答を基本とし、複数の内容を一度に問うマトリクス形式はなるべく避けましょう。
回答負荷への配慮
シニア層から丁寧な回答を引き出すには、時間的・身体的負担への配慮が必須です。全体の設問数は15~20問程度を目安とし、回答時間は20分以内におさめます。5問程度ごとに進捗状況を表示し、必要に応じて休憩を促すメッセージを入れることも効果的です。途中保存機能を実装し、考える時間が取れるよう配慮します。また、集中力のつづく「午前中から夕方頃まで」に回答できるよう、調査時間帯にも配慮が必要です。
入力支援機能の実装
シニア層の入力負担を軽減する機能は、回答意欲の維持につながります。「フリガナ自動入力」「住所検索」「文字サイズ変更」など、便利機能を実装するとよいでしょう。
また入力ミスを防止すべく、確認画面での修正機能や、入力内容の自動保存機能も有効です。ほかにも、音声入力機能を搭載すれば、キーボード入力が苦手な人への配慮にもなるでしょう。エラーメッセージには具体的な対処方法を示すことで、回答率の向上が期待できます。
データの信頼性確保
シニア層から質の高い回答を得るには、調査の意義を説明するとよいでしょう。調査目的や結果の活用方法を示すことで、データの信頼性確保につながり、回答率アップが期待できます。
個人情報の取り扱いについても説明し、安心して回答できる環境を整えます。また、アンケートの内容によっては、適切な謝礼金額を設定し、回答意欲を持続させる方法も一案です。
回収したアンケートからシニアのインサイトを抽出
アンケート結果を単なる集計で終わらせず、シニア層のニーズや課題を明らかにするには、適切な分析が欠かせません。
まず、「なぜ、このような回答になったのか」という要因分析を行うべく、性別・年齢層・居住地域などの基本属性との関連性を探ります。つづいて、得られた分析結果の信頼性を高めるために、シニア向けメディアの動向や介護施設での実態調査など、外部データとの整合性を確認します。最後に、発見した課題に対する解決策を用意し、優先順位をつけましょう。
回収したアンケート結果について、段階的なアプローチを行うことで、シニアの本音に基づいた施策を導き出せます。
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シニア層へのWebアンケート調査では、デジタルの特性を活かしながら、高齢者特有の課題に配慮した対応が求められます。本記事で解説した具体策を実践すれば、シニア・高齢者層から、価値あるアンケート結果を引き出せるでしょう。
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