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作成日:2025.04.30 最終更新日:2025.05.01

シニア向けサンプリング調査とは?全数調査とのコスト比較やメリット・サンプル数の目安も解説

シニア向けサンプリング調査とは?全数調査とのコスト比較やメリット・サンプル数の目安も解説

リサーチをする際に、多くのターゲットに調査を行うと、時間も費用も膨大にかかります。そこで有効な方法がサンプリング調査です。大勢から「一部の人をピックアップ」して調査することから、コストを抑えつつ調べられます。しかし、シニアに向けてどのように調査をすればよいかと悩むのではないでしょうか?

そこで当記事では、シニア向けにサンプリング調査を行う方法や、成功のポイントを解説します。シニアに向けたサンプリング調査について、うまく進めたいと考える場合にはぜひ参考にしてください。

目次

コスモラボのサンプリング調査

コスモラボは、シニアに特化したサンプリング調査のプロフェッショナルです。全国約150か所に弊社商品の体験会場を展開し、年間約400万人の方々に来場いただいております。

サンプル数も柔軟に展開し、1,000個から10,000個までと、幅広く対応できます。サンプリングのみや、アンケート・インタビューまで含むプランなど、ニーズに応じて選べます。
シニア向けのサンプリング調査は、ぜひコスモラボにお任せください。

サンプリング調査とは?

サンプリング調査とは?

ここでは、サンプリング調査の概要や目的など、基本的な知識について解説します。

サンプリング調査の概要

サンプリング調査では、対象となる全員にではなく、母集団から抽出した一部(サンプル)の人に調査します。全員を調べなくても、全体の傾向を推測できることが特徴です。

サンプルをピックアップする際に、ランダムに選ぶ場合もありますが、「年齢や性別ごと」などのカテゴリから選ぶケースも多いでしょう。

サンプリング調査を行う目的

サンプリング調査を行う目的は、市場全体のニーズや消費者の傾向について、効率的に内容を知ることです。全数調査では、膨大な時間や費用がかかります。一方のサンプリング調査は、限られたサンプルで調査することから、コストを抑えられます。

しかし、調査方法を間違うと、結果に偏りが出るため注意が必要です。例えば、シニアを対象とした健康食品の調査を行う場合、インターネット調査だけだと、インターネットを使えない層の意見が反映されません。状況に応じて、対面調査や電話調査も組み合わせるとよいでしょう。

サンプリング調査を行うメリット

サンプリング調査を行うメリット

サンプリング調査は、マーケティングリサーチの効率的な手法として活用されています。調査を行う主なメリットは、以下の通りです。

全数調査よりコストを抑えられる

サンプリング調査は、母集団の一部からピックアップして調査するため、全数調査と比較すると、調査費用を削減できることが特徴です。調査にかかる人件費や分析費用など、総合的に費用を抑えられます。特に「対面での説明」や「個別でのフォロー」が必要な調査では、一人あたりの調査費が高くなりがちです。サンプリング調査であれば、対象人数を適切に絞れることから、予算を効率的に管理できるでしょう。

効率的にデータ収集ができる

母集団から対象者を抽出するため、全数調査より調査人数が少なく、データ収集の時間や労力を削減できることが特徴です。調査対象者が限られることから、全体的な調査スケジュールも短く済む傾向にあります。また対象者数が少ないことで、「一人ひとりのインタビュー時間を長く取れる」「詳細な追加質問を行える」など、丁寧なフォローアップもしやすいでしょう。

サンプル少量でも母集団の全体像を把握できる

統計学の考え方では、少数の人に適切な調査をすれば、全体の傾向を推測できることが分かっています。例えば、数万人におよぶ高齢者の考えを知りたい場合、全員に意見を聞く必要はありません。偏りなく選んだ数百人に質問するだけでも、ほぼ同じ結果が得られます。

サンプル調査を行う際には、公平な選び方で必要な人数に調査すれば、少量のサンプルでも母集団の全体像を把握できます。

サンプリング調査を行うデメリット

サンプリング調査を行うデメリット

サンプリング調査には、デメリットも存在します。主なデメリットは、以下の通りです。

サンプリング調査特有の誤差が生じやすい

サンプリング調査を行うと、特有の誤差が生じやすくなります。
例えば標本誤差は、母集団から一部を抽出するときに生じる誤差です。1,000人の消費者調査を行った際に、「製品Aが好き」と答えた割合が60%だったとしても、別の1,000人を選ぶと50%になることがあります。

他にもカバレッジ誤差は、調査対象に含まれない層があると発生します。例えば、オンライン調査だけを行うと、インターネットを使わない高齢者の意見が含まれません。サンプリング調査を行う際には、特有の誤差に注意が必要です。

ターゲット設定などの予備調査に手間がかかる

効果的なサンプリング調査を実施するには、事前準備をしっかりと行う必要があります。まず、誰を対象とするか(=母集団の定義)と、どのように対象者を選ぶか(=サンプリング枠の設定)を決めます。そのためには、対象者の属性を知るための市場分析や、サンプリング方法の妥当性を確認する予備調査など、本調査前の準備作業が欠かせません。
サンプリング調査を行う際には、本調査のほかに、予備調査の時間も考慮するとよいでしょう。

サンプル数が少なすぎると正確な調査ができない

サンプリング調査では、サンプルが少なすぎると正確な調査ができません。サンプルとなる対象者が少なすぎると、偶然の影響が大きくなるためです。例えば60代と70代の消費行動を比較したい場合、各グループに5人ずつしかいなければ、たまたま選んだ5人の個性や特殊な事情が結果に影響されがちです。しかし、各グループに数十人以上のサンプルがあれば、個人の特性による偏りが少なくなり、一般的な傾向が見えてくるでしょう。

サンプリング調査の種類と調査方法

サンプリング調査の種類と調査方法

ここでは、サンプリング調査の種類と調査方法について解説します。まずは、調査の種類について見ていきましょう。

サンプリング調査の種類

ここでは、サンプリング調査の種類について、3つの内容を紹介します。

無作為抽出法(確率標本抽出法)

無作為抽出法は、誰もが選ばれる可能性がある、公平な選定方法です。調査者の主観が入らないため、信頼性の高い調査結果が得られます。
無作為抽出法について、主な手法は以下の通りです。

単純無作為抽出法  くじ引きのように対象者を選ぶ方法
(例:シニア100人のリストから、無作為に10人を選ぶ)
属化無作為抽出法  各グループにわけて、その比率に応じて抽出する方法
(例:「60代が30%、70代が70%」なら、100人の調査では「30人、70人」ずつ無作為に選ぶ)
系統抽出法  リストから、一定間隔(例:10人ごと)に対象者を選ぶ
(例:会員リスト1,000人から100人を選ぶ場合、10人ごとに1人を選ぶ)
集落抽出法  地域や施設といった集団単位で、その集団の全員を調査する
(例:全国の老人ホームから10クラブを選び、その中の全員を調査する)

有意抽出法(非確率抽出法)

主観的抽出法とは、「誰を調査対象にするか」について、調査者の判断で決める方法です。サイコロを振って決めるような無作為な方法ではなく、調査のしやすさや目的に合わせて対象者を選びます。
有意抽出法について、主な手法は以下の通りです。

割当抽出法  対象者の条件を決め、選定は調査員の判断に任される。
(例:60代の男性30名に街頭調査すると決める。誰に声をかけるかは調査員が決めてよい。)
便宜抽出法  最も手軽に接触できる人を選ぶ方法
(例:商業施設で買い物をする60代・100名にアンケート)
雪だるま式抽出法  最初の対象者から、次の対象者を紹介してもらう方法
(例:最初に選んだ介護経験者から、同様の経験がある知人を紹介してもらう)

混合抽出法

混合抽出法は、無作為抽出法と有意抽出法の要素を組み合わせた方法です。以下のような方法が存在します。

多段抽出法  大きな集団から、段階的に絞ってサンプルを選ぶ方法
(例:北海道のシニアの健康状態を調査するので、北海道から無作為に10の市町村を選ぶ。そこから10世帯を選ぶ)
二相抽出法  調査を二段階に分けて実施する方法。最初に大きなサンプルで基本情報を集め、さらに小さなサンプルを選ぶ。
(例:新薬の市場調査を行うので、最初に100人の医師にアンケートを実施。そこから10人の医師にインタビューを実施)

サンプリングの調査方法

主なサンプリングの調査方法は、以下の通りです。

オンライン調査

オンライン調査は、インターネットを通じて回答を集める手法です。パソコンやスマートフォンから回答できるため、参加地域の制約がなく、広範囲からデータを集められます。一方、インターネットに不慣れな高齢者や、パソコンやスマートフォンを持たない層からは、回答を得にくいという課題があります。

会場調査

会場調査は、特定の場所にモニターを招待し、その場で調査を行う方法です。調査員とモニターが直接的に対面するため、回答者の表情や反応を観察しやすく、その場で追加質問ができます。高齢者を対象とする場合、会場へのアクセスのしやすさや休憩スペースの確保といった配慮が必要です。調査実施のコストは比較的高く、参加者も特定の時間と場所に集まる必要があります。

訪問調査

訪問調査は、モニターの自宅や勤務先などを訪問して行う調査方法です。対象者の生活環境や行動を、直接確認できます。調査員が訪問することから、体調や移動に制約のあるモニターも参加しやすいでしょう。一方で、訪問するスタッフの確保や移動時間など、コストと労力がかかる傾向にあります。

郵送調査

郵送調査は、質問票を郵送し、回答を返送してもらう伝統的な調査方法です。インターネットを使わない層も含め、幅広いサンプリングが実現します。高齢者にとっては、慣れ親しんだ紙媒体で回答できる安心感があるでしょう。ただし、回収率は「20~30%程度」と低めです。また、回答者が質問内容を誤認識するケースもあり、誤記入が生じやすいという課題もあります。

シニア層へのサンプリング調査の進め方

シニア層へのサンプリング調査の進め方

続いて、シニア層へのサンプリング調査の進め方について解説します。以下の手順に沿って、調査を進めるとよいでしょう。

母集団を把握し対象者を選定する

サンプリング調査を行う際には、「母集団」を定義し、その中から適切な調査対象者を選ぶことが大切です。母集団とは、調査対象の全体を指します。シニア向け宅配食事サービスの調査であれば、「65歳以上の日本に住む高齢者」などが母集団になります。

次に、母集団から具体的な調査対象者を選定します。例えば「70歳以上の一人暮らし高齢者」など、調査目的に合わせて絞り込みましょう。

サンプルサイズの決定

次に、調査に必要なサンプルサイズを決定します。サンプルサイズとは、調査対象となる母集団から、実際に選ぶ人の数です。サンプルサイズの基本的な考え方は、「より多くの人を調査すれば、結果はより正確になる」です。

例えば、5人に聞いた意見と500人に聞いた意見では、後者の方がデータとして正確だと考えられます。予算や期間によって、適切なサンプルサイズは変わるため、状況に応じて決める必要があります。

調査設計を行う

調査設計とは「何を知りたいか」という目的から、「どのように調査するか」までを決める作業です。例えば、宅配食事サービスの改善点を調査する場合、まず「味の満足度を知る」などの目的を定めます。次に調査手法を決めるため、定量調査(味を5段階で評価)と定性調査(美味しいと思う理由・改善点)を組み合わせるなど、目的達成に適した方法を選びます。

調査実施の流れを決める

調査を具体的に進めるため、告知から回収までの一連の流れを決めましょう。具体的には、以下の内容を決めます。

  • 告知方法…(例)配達時にチラシを同梱する、郵送で知らせる
  • 調査方法…(例)配達員によるヒアリング、アンケート用紙を配る
  • 回収方法…(例)次回の配達でアンケート用紙を回収する

実際に調査を行う

例えば、宅配食事サービスの調査をするとしましょう。配達員が訪問する場合、事前に電話で「明日の配達時に5分ほどヒアリングさせてほしい」と連絡すると安心です。時々、モニターが予定を忘れているケースもあるため、事前フォローは大切です。

郵送での調査であれば、「返信用封筒」を同封すると、返信率が高くなります。会場調査では、シニアが行きやすい「アクセスのよい場所」を選びましょう。

シニア層へのサンプリングは調査設計が重要

サンプリング調査における「調査設計」は、調査全体の土台です。調査設計が不十分だと、「収集するデータが不適切」「ターゲットに合った質問ではない」などの問題が発生しがちです。またシニア層には、世代特有の価値観や身体面に配慮した設計が求められます。

その際に、高齢者の特性を熟知した調査会社を選べば、適切な調査設計をサポートしてもらえるでしょう。

調査結果の分析方法

調査結果の分析方法

せっかく調査を実施しても、結果を活かせなければ意味がありません。得たデータを適切に分析し、意味のある内容にすることで、調査の価値が最大化されます。ここでは、定量データと定性データに分けて、それぞれの分析方法を紹介します。

定量データを分析する場合

数値として示せる「定量データ」の分析方法について、主な内容は以下の通りです。

統計分析

統計分析は、得られた数値データから、客観的な結論を導く手法です。平均値や割合などを算出し、相関関係や因果関係を把握します。例えば、顧客満足度とリピート率の関係性を分析します。

クロス集計

クロス集計は、2つ以上の項目を集計し、その関係性を分析する手法です。例えば、「年代別×商品購入の経験」でクロス集計を行うと、どの年代が対象商品を頻繁に購入しているかが見えてきます。

定性データの分析

数値で表現しにくい「定量データ」は、以下のような方法で分析します。

テキストマイニング

テキストマイニングは、文章データから、有益な情報を抽出する手法です。例えば、「商品に対する不満」を分析する場合、テキストマイニングを用いることで、頻繁に出てくるキーワードや関連性の高い単語を可視化できます。昨今ではAI技術の発展により、感情分析や評判分析など、より高度な分析も可能になっています。

KJ法

KJ法は、グループでアイデアを出し合い、それらを整理・分析する手法です。例えば、アイディアや意見をカードに書き出し、似たものを集めてグループ化します。少人数でじっくりと議論を深めたい場合や、アイディアを創造的にまとめたい場合に有効な手法です。

その他の分析方法

ここでは、その他の分析方法としてクラスタリングを紹介します。

クラスタリング

クラスタリングは、似た特徴を持つグループ(クラスター)で分類する手法です。例えば、購買履歴・年齢・居住地などの情報をもとにクラスタリングを行えば、顧客をいくつかのグループに分類できます。大規模なデータを効率的に分析する際に、有用な分析方法の1つです。

価格や謝礼について

価格や謝礼について

調査を行う際に、費用や謝礼も気になるところです。ここでは、サンプリング調査の費用や謝礼の相場について解説します。

サンプリング調査の費用相場と内訳

サンプリング調査全体の費用相場は、以下の通りです。

  • 小規模調査(数十人~百人):20~50万円
  • 中規模調査(数百人):50~100万円
  • 大規模調査(千人以上):100万円以上

上記には、調査設計・スクリーニング・本調査・データ分析・謝礼といった費用が含まれます。また総費用は、調査の規模や方法により変動します。

謝礼設定のポイント

謝礼は一般的に、現金や商品券で支給されます。オンラインインタビューの謝礼は、1対1の形式で「3千〜1万円程度」が相場です。シニアを対象とする場合、移動や体力的な負担が発生することも多いため、通常よりも高めの金額設定を推奨します。具体的には、5千円から1万5千円くらいで考えるとよいでしょう。

サンプリング調査の活用事例

サンプリング調査の活用事例

シニアに向けたサンプリング調査は、様々な業界で実施されています。ここでは、サンプリング調査の活用事例として、2つの内容を紹介します。

シニア向け健康食品A社のニーズ調査

健康食品メーカーA社は、シニア向けの商品開発にあたり、65歳以上の高齢者500人を対象としたサンプリング調査を実施しました。調査では、健康や栄養に対する関心度、現在利用している健康食品の種類や購入頻度などをヒアリングしました。結果として、プロテインに対するニーズが高いと判明します。プロテインが強化された商品ラインナップを開発した結果、A社はシニア市場でのシェア拡大に成功しています。

高齢者向け住宅をつくるB社の満足度調査

高齢者向け住宅を運営するB社は、入居者の満足度向上を目的とし、50戸の入居者を対象にサンプリング調査を実施しました。その結果、現状には満足しているものの、趣味活動への参加を望む声が多いと判明しました。

結果を受け、地域との交流を促進するようなイベントやサービスの拡充を重視する方針へと転換しました。サービス改善により、入居率の向上と顧客満足度の向上を実現しています。

コスモラボとは?

コスモラボは、シニア市場におけるサンプリング調査の課題解決を支援する、マーケティングリサーチ会社です。サンプリング調査をはじめ、ホームユーステスト・デプスインタビュー・グループインタビューなど、多様な調査に対応します。調査目的の設定・調査設計・分析・アフターフォローまで、ワンストップで対応することが可能です。年間約400万人のシニアモニターから得られるリアルな声と、長年において培ったノウハウを駆使し、お客様のビジネスを成功へと導きます。

サンプリング調査なら、シニア市場に強いコスモラボがおすすめ

シニア向けサンプリング調査には、専門知識と経験が不可欠です。弊社は年間約400万人と対面で接する場を持ち、その多くがシニア世代の方々です。全国約150か所の体験会場を活用した対面調査や、デジタルリテラシーに配慮したきめ細やかな調査設計を実現します。また、1,000〜10,000個までの柔軟なサンプル数で、お客様の予算と目的に最適な調査プランをご提案します。シニア市場の複雑なニーズに対応できる「サンプリング調査」を実現したい場合には、ぜひコスモラボにご相談ください。