- シニア調査
作成日:2025.06.30
アクティブシニアとは?定義からペルソナの作成・マーケティングの成功ポイントまで解説

日本の高齢化に伴い、シニア市場の重要性が高まっています。なかでも「アクティブシニア」と呼ばれる層は活動的であり、体験や消費にも積極的です。そのため、シニアマーケティングを考える際に、外せないターゲットだといえます。
そこで本記事では、アクティブシニアの定義をはじめ、ペルソナ作成・マーケティングでの成功ポイントまで解説します。アクティブシニアへの理解を深め、マーケティング活動に活かしたい場合には、ぜひ参考にしてください。
目次
アクティブシニアとは?
高齢化社会の進展とともに、従来の「高齢者」のイメージを覆すような、新たなシニア層が注目されています。ここでは、アクティブシニアの定義や年齢層・ライフステージなどを解説します。
シニアの分類とそれぞれの特徴
アクティブシニアを理解するには、シニア市場を4つのタイプに分けて考えることが大切です。
【シニアの分類(4つのタイプ)】
アクティブシニア | 健康かつ意欲的であり、活力溢れるシニア |
---|---|
ケアシニア | 介護や積極的な医療サポートを必要とするシニア |
ディフェンシブシニア | 健康や経済面などの不安から、消費に慎重なシニア |
ギャップシニア | できることがあっても、諦めたり我慢しがちなシニア |
それぞれのシニアは、異なる消費行動をする傾向にあり、マーケティング戦略も変わります。なかでもアクティブシニアは、消費活動も積極的であるため、多くの企業が注目しています。
アクティブシニアの定義・特徴
アクティブシニアとは、健康であり、積極的に社会活動や消費活動を行う高齢者のことです。健康意識も高く、定期的な運動や予防医学への関心も強い傾向にあります。経済的に余裕がある人も多く、消費意欲も旺盛で、質の高い商品・サービスを求めるケースも多いでしょう。
「旅行」「スポーツ活動」「学習」「ボランティア活動への参加」など、多様な分野で積極的に活動をしています。また、体験価値や自己実現を重視する点も特徴です。
アクティブシニアの年齢層とライフステージ
アクティブシニアは、前期高齢者と呼ばれる「65歳から74歳の年代」に多く分布しています。ライフステージとしては、退職前後の時期や、子育て終了後の人が多いでしょう。
退職すると自由な時間を手にできるため、新しい活動や趣味への取り組みが活発化します。また子育て終了後は、教育費の負担が減り、可処分所得が増加する傾向にあるでしょう。自分たちの楽しみや体験に資金を使えることも、消費活動が活発になる理由の1つです。経済的・時間的余裕が生まれる時期と、健康維持への意識の高まりが重なることも、アクティブな消費行動につながっています。
アクティブシニアの市場
シニア自体の市場規模が拡大するなかで、シニア市場の主役ともいえる「アクティブシニア」に注目する企業は増えています。ここでは、アクティブシニアの市場概要をはじめ、推移と予測や、ビジネスチャンスなどを見ていきましょう。
アクティブシニアの市場における位置づけ
アクティブシニアは、高齢者の消費活動をリードする存在だといえます。医療技術の進歩・生活環境の改善・健康意識の向上などによって、日本人の健康寿命は延びています。それに伴い、活動的なアクティブシニアも増えています。
また従来のシニア層は、生活必需品を中心とした、堅実な消費行動を取りがちでした。しかし、アクティブシニアの登場によって、消費パターンに変化が生まれています。例えば、趣味・学習・旅行など、体験価値に投資する人が増えています。起業や地域活動に参加する人もいるでしょう。アクティブシニアは、新たな価値を生み出す存在としても注目されています。
市場規模の推移と予測
総務省の研究データによると、高齢者の身体機能は向上しており、2002年時点での高齢者の歩行速度は1992年と比較すると、「男女とも11歳若返っている」と示されています。さらに2030年には、約8割の高齢者が介護不要で自立的に暮らすと予測されており、アクティブシニア市場の拡大も推測できるでしょう。
データ参考元・図の引用元:
第1部 特集 「スマートICT」の戦略的活用でいかに日本に元気と成長をもたらすか_総務省
今後も「アクティブシニア市場」が成長する要因として、健康寿命の延びをはじめ、年金制度やIT技術の進歩も挙げられます。年金受給額の減少や支給開始年齢の引き上げによって、働き続けるシニアが増えており、健康かつ経済的な余裕を持つシニアが増える見込みです。また、さらなるIT技術の普及により、オンラインショッピングや各種サービスへのアクセスも向上すれば、シニアの消費行動がより活発になるでしょう。
今後のビジネスチャンス
アクティブシニア市場の拡大は、多様な業界に「新たなビジネスチャンス」をもたらすといえます。例えば、健康維持や増進の分野では、従来の治療中心から予防・維持へのシフトが期待されています。それに伴い、フィットネス・栄養・メンタルヘルスサービスの需要が高まるでしょう。
また、学習・教育分野では、知識欲旺盛なシニア向けの「生涯学習プログラム」や「資格取得支援サービス」が注目されています。デジタル技術の普及により、オンラインサービスやEコマース分野での高齢者向けソリューションも発展しています。そのため、未開拓だった分野でも、新たなサービスモデルの創出が期待できるでしょう。
アクティブシニアの消費行動における特徴
アクティブシニアに向けてマーケティング活動を行う場合には、「アクティブシニアの消費行動」を把握することが大切です。ここでは、消費行動の特徴を解説します。
アクティブシニアの価値観と興味関心
アクティブシニアは、健康維持を意識しつつ、自己実現や社会貢献にも関心を示す特徴があります。定年退職後や子育て後などの時間的な余裕を活かし、これまで挑戦できなかった体験や学習に取り組む人も多いでしょう。
~体験や学習の例~
- 旅行を通じた文化体験
- 資格取得での自己啓発
- 地域ボランティアへの参加
また、自分の知識や経験を伝えることに喜びを感じる人も多く、講師やメンター役を務めるケースも見受けられます。健康関連では、単なる病気予防というより、生活の質を求める「ウェルネス志向」が強いことが特徴です。そのため、フィットネスクラブでの運動や健康食品への投資をする人も見受けられます。
消費行動の特徴
アクティブシニアは、衝動買いをするケースは少なく、計画的な消費行動が特徴的です。口コミ・専門誌・インターネットなど、様々な情報源を活用しつつ、総合的に判断する傾向にあります。購買を決定する際には、安全性や信頼性を踏まえたうえで、実際の効果や費用対効果を見て判断するケースが多いでしょう。ブランドの評判や企業の社会的責任も、判断材料になり得ます。
例えば以下のような内容に対し、積極的に投資する傾向にあります。
- 健康関連のサービス
- 学習などの自己投資
- 快適な生活環境の整備
- 孫へのプレゼント
アクティブシニアは、価格に敏感でありながらも、本当に価値があると判断したものには相応の対価を払う人が多いでしょう。
デジタルツールに対する意識
近年、シニア層においても、デジタルツールが普及しています。スマートフォン使用率も増え、LINEやFacebookなどのSNSも、日常的なコミュニケーション手段として定着しています。また新型コロナウイルスをきっかけとし、キャッシュレス決済やネットショップを利用するシニアも増え、デジタルに慣れている人も多いでしょう。
とはいえ、アクティブシニアのなかにも、デジタルツールの操作に不安を感じる人は存在します。その反面、新たな知識の習得に意欲的な人も多く、デジタルツールの操作ができるようになった事例も増えています。
アクティブシニア向けマーケティング戦略での成功ポイント
アクティブシニア向けマーケティングを成功させるには、ポイントを押さえることが大切です。主なポイントは、以下の通りです。
信頼関係を構築する
アクティブシニアは、長年の経験により、商品やサービスを慎重に選ぶ傾向にあります。企業の信頼性や品質を重視することも多く、納得できるものにお金を使います。このような特性を踏まえると、継続的な信頼関係の構築が欠かせません。丁寧な接客対応・透明性のある情報提供・アフターサービスの充実などを通じて、長期的な関係を築く姿勢が不可欠です。
オンライン・オフラインを併用する
アクティブシニアの情報収集方法は千差万別です。SNSを積極的に活用する人もいれば、従来の新聞や雑誌を好む人もいます。また、両方を使い分けるハイブリッド派も存在します。
そのため、アクティブシニアに向けて「効果的なマーケティング活動」を行うには、オンラインとオフラインを併用することが大切です。デジタル広告やチラシ、オンラインイベントと店舗での体験会など、オンラインとオフラインを組み合わせるとよいでしょう。
トレンドを意識する
アクティブシニア向けマーケティングでは、トレンドへの意識が不可欠です。アクティブシニアは新しいものに関心を示すだけでなく、社会情勢や時代の変化によって、消費行動が変化するためです。
例えば、コロナ禍で対面活動が困難になった結果、オンライン活動への参加が増えました。働き方改革の影響で、シニア世代の就労スタイルも変化しています。また健康寿命への関心の高まりから、ウェルネス関連商品や予防医療への注目も集まっています。変化を見逃さないためにも、市場調査や顧客アンケートを定期的に実施し、最新のトレンドをマーケティング戦略に反映させることが重要です。
ペルソナ設定を適切に行う
アクティブシニアといっても、ライフスタイルや価値観は様々です。旅行好きのアクティブ派もいれば、学習意欲旺盛な知識派など、多様なタイプが存在します。効果的なマーケティング活動を実現するには、ターゲットとする顧客層について、具体的なペルソナを設定することが大切です。年齢・性別・居住地域・消費行動などを分析し、明確な顧客像を描くことで、適切なメッセージやチャネル選択が可能になります。
限られたマーケティング予算を効率的に活用し、高い投資効果を実現するためにも、ペルソナ設定は重要です。
アクティブシニアに響くペルソナ設定のやり方
アクティブシニア向けマーケティングでは、ペルソナ設定が重要だとわかりました。ここでは、ペルソナ設定のやり方について解説します。
STEP1:仮説を形成する
まずは市場データや統計情報を活用し、アクティブシニアの初期仮説を用意します。「総務省の家計調査」「内閣府の高齢社会白書」「民間企業の消費動向調査」などから、年収・居住地域・家族構成・消費傾向などの基本的な特徴を把握しましょう。
例えば「60代前半の夫婦世帯で、年収500万円以上。健康意識が高く、旅行や習い事に積極的」といった大まかな輪郭を描きます。この段階では、完璧である必要はありません。あくまで仮説とし、あとのSTEPで検証・修正していくためのベースを設定しましょう。
STEP2:多角的な調査を行う
仮説をもとに、定量調査と定性調査を組み合わせつつ実態を探ります。定量調査では、オンラインアンケートや郵送調査によって、数値的な傾向を把握しましょう。そのうえで、購買頻度・利用チャネル・価格帯への意識などを定量化します。
一方の定性調査では、グループインタビューや個別ヒアリングなどを通じて、数字では表現しきれないリアルな声や感情を集めます。「なぜその商品を選んだのか」「どのような気持ちで購入したか」といった背景を深掘りしましょう。定量調査と定性調査を並行することで、より立体的な顧客像が浮かび上がります。
STEP3:行動背景を分析する
収集データから、アクティブシニアの行動について動機や価値観を分析します。「旅行に年3回行く」という表面的なパターンだけでなく、「なぜ旅行をするのか」「どのような体験を求めているか」といった深層心理を探りましょう。旅行の動機を例に挙げても、「夫婦の時間を大切にしたい」「SNSで友人に共有したい」など、人それぞれ異なります。
また、購買行動の背景には「子育てが終わって時間ができた」「健康への不安が高まった」といった、人生の転換点が影響するケースも多いです。背景を詳細に理解することで、より効果的な訴求ポイントが見えてきます。
STEP4:共感できるペルソナを構築する
最後に、定量データと定性データを統合し、リアリティのあるペルソナを描きましょう。その際には、実在する人物のように、具体的な設定を行うことが重要です。「田中〇〇さん、63歳。元教師で夫と二人暮らし。趣味はガーデニングと読書で、3か月に1度の温泉旅行が楽しみ。スマートフォンは使えるがSNSは控えめ」などと、詳細に設定します。
重要なのは、社内の誰もが「この人なら確かにこの商品を買いそう」と共感できるレベルまで落とし込むことです。ペルソナが曖昧だと、マーケティング施策もぼやけてしまいます。
アクティブシニア市場参入における注意点
アクティブシニア市場に参入する際には、注意すべき点も存在します。具体的には、以下の内容に注意することが大切です。
デジタルリテラシーの個人差を意識する
アクティブシニアのなかには、デジタルツールを使いこなす人も多いでしょう。とはいえ、デジタルリテラシーには個人差があります。SNSを使いこなす人がいる一方で、対面でのコミュニケーションが得意な人もいます。オンライン調査だけでは、デジタルが苦手な人の声を取りこぼす可能性があるでしょう。
そのため、郵送アンケートや店舗での聞き取りなど、オフラインでの調査も並行することが重要です。また、実際の商品やサービスの提供においても、デジタルが苦手な層への配慮が欠かせません。電話サポートや店舗での説明、紙の資料提供など、アナログな方法も検討するとよいでしょう。
多様性を前提に戦略を考える
アクティブシニア市場は、均一ではありません。個人の価値観やライフスタイルが異なることを前提にし、戦略を立てる必要があります。例えば同じ60代でも、キャリアを重視してきた女性と専業主婦では、求める商品やサービスが違うでしょう。
都市部と地方・子どもと同居・別居など、住環境や家族構成によっても消費行動は変わります。一般的な「シニア向け」のアプローチにとどまらず、個人の背景や志向性を理解し、セグメント別の細やかな対応を行うことが重要です。
継続的に学習する姿勢が欠かせない
アクティブシニア市場は、社会情勢や時代の変化にも影響されます。そのため、常に変化し続けることを前提に、行動する必要があるでしょう。コロナ禍での行動様式の変化、デジタル化の進展など、短期間で価値観や消費行動が変わることも珍しくありません。そのため、決めた戦略に固執せず、最新の市場動向などを見逃さないことが大切です。
定期的な市場調査の実施や競合他社の動向分析など、常にアンテナを張り、必要に応じて軌道修正を行いましょう。
アクティブシニアマーケティングの成功事例
ここでは、アクティブシニアマーケティングの成功事例について紹介します。アクティブシニア層の特性やニーズを捉えた戦略が、どのように成果につながったかを具体的に見ていきましょう。
衣料品ブランドA社のシニアを感じさせない戦略
衣料品ブランドA社は、年齢を意識させないマーケティング戦略で、「若々しくいたい」「自分らしさが大切」と思うアクティブシニア層から支持されています。また、年齢に捉われないデザインと、多様なライフスタイルを反映したラインナップを用意しています。
カタログは「デジタル」と「紙面」を用意しており、デジタル格差に配慮している点もポイントです。SNSでのコミュニケーション戦略も活用し、従来のシニア向けブランドのイメージを覆すことにも成功しました。
フィットネスジムB社の女性アクティブシニアに寄り添う戦略
フィットネスジムB社は、女性アクティブシニア向けに、独自のシステムを用意しています。医学的根拠に基づくトレーニングプログラムに加えて、心身の健康をサポートするアプローチも特徴です。シニア女性に向けて、「栄養相談」や「メンタルヘルスケア」など、総合的なサービスも提供しています。
また、参加者同士の交流を促進できるように、仲間づくりや社会的つながりを重視したコミュニティ運営も特徴です。生きがいと自信を引き出すことに成功し、多くの女性アクティブシニアからの支持を獲得しています。
コスモラボの、アクティブシニア・マーケティング支援
コスモラボは、シニアを専門とするマーケティング支援サービスです。全国に在籍する会員は20万人におよび、180以上の豊富な調査実績を誇ります。また会員構成は、ギャップシニアからアクティブシニアまで幅広いです。アクティブシニアに焦点を当てた調査から、アクティブシニアと他シニアとの比較など、多様な調査が可能です。
またコスモラボは、単なる市場調査にとどまりません。企画設計から実行まで、一貫した伴走サービスを提供でき、ペルソナ設定・認知拡大・販促・デジタル集客まで総合的にサポートいたします。250名を超えるシニアエキスパートが、貴社のニーズや状況に応じた最適な方法をご提案します。
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アクティブシニアは健康で意欲的なシニア層として、今後さらなる市場拡大が予想されます。また、シニアのデジタルリテラシーの格差や価値観の多様化を理解したうえで、適切なペルソナ設定と市場分析が必要です。
コスモラボは20万人の会員基盤と180以上の調査実績を活かし、アクティブシニア市場への参入から成果創出まで、ワンストップ対応が可能です。専門性の高い市場調査からペルソナ設定、効果的なマーケティング施策まで、貴社のマーケティングを徹底的にサポートします。詳しい内容は、以下の無料資料をご参照ください。