- シニア調査
作成日:2025.03.14 最終更新日:2025.04.12
シニア・高齢者のグループインタビュー完全ガイド |メリットや質問例・謝礼・会社選びまでプロが徹底解説

シニア・高齢者向けのマーケティング活動を行う際に、グループインタビューの実施を考える企業も多いでしょう。しかし単なる聞き取り調査では、本質的な内容を引き出すのは難しいことも事実です。効果的なグループインタビューを行うには、専門的なアプローチと高度なコミュニケーションスキルが欠かせません。
そこで本記事では、シニア向けグループインタビューの適切な進め方やポイントについて解説します。
目次
コスモラボのグループインタビュー
コスモラボは、約40年にわたりシニア市場と向き合い、豊富なノウハウを活かした「独自のグループインタビューサービス」を展開しています。
およそ13万人のモニター会員における83%が60歳以上であり、オンラインでの発信が苦手な70代や80代も含めてアプローチが可能です。リーズナブルな価格でありながら、シニアの本音を引き出す高品質な調査を提供しており、製品開発から市場調査まで幅広いニーズに対応します。
グループインタビューとは?
グループインタビューとは、特定のテーマについて6〜8名程度の参加者がオンラインやオフライン上に集まり、意見や感想を話してもらう調査手法です。
「製品開発」「マーケティング戦略」「サービス改善」などの場面で広く活用され、参加者の深層心理や価値観を理解する方法として重視されます。従来の対面形式に加え、近年ではオンラインでの実施も増加しています。
個別インタビューとの違い
グループインタビューと個別インタビューの違いは、「調査の目的」と「収集できる情報の性質」にあります。
グループインタビューの目的は、複数の参加者から情報を収集し、参加者間の集合的な意見や傾向を知ることです。
個別インタビューは、1対1の対話を通じて、一人ひとりの詳細な経験や意見を引き出すことが目的です。データの質においても、グループインタビューは多様な視点や集合的な意見が得られるのに対し、個別インタビューは個人の詳細を収集します。調査の目的に応じて、適切な方法を選択することが大切です。
オフラインとオンラインのメリット・デメリット
リアルに顔を合わせるオフライン形式は、参加者の表情や仕草まで細かくわかり、自然なコミュニケーションが可能です。ただし、会場費や参加者の移動負担、地理的な制約が生じるといったデメリットがあります。
オンライン形式は、インターネット環境とパソコンやスマホがあれば参加できるため、地理的な制約が少なく、移動の負担が少ない利点があります。しかし、機器操作の習熟度や通信環境に左右されやすく、細かな表情の変化といった非言語コミュニケーションの把握が難しい傾向にあるでしょう。
謝礼・費用相場について
グループインタビューの費用相場は、オフライン形式では「参加者6名程度×2~4グループ」につき、120万円~140万円ほどです。費用には基本料金・リクルート料金・会場費・モデレーター費・参加者謝礼などが含まれます。オンライン形式の場合は、オフライン形式より抑えられる傾向にあり、同様の規模(参加者6名程度×2~4グループ)の調査で、60万円から100万円ほどです。
ただし、金額は目安であり、実際の費用は「調査の規模」「対象者の属性」「リクルートの難易度」などで変動します。
グループインタビューのメリット・デメリット
グループインタビューを行う場合には、メリットとデメリットを理解することが大切です。
グループインタビューのメリット
グループインタビューは、参加者同士の対話から新たな気づきが生まれやすく、議論で意見が活性化しやすくなります。複数の意見を効率的に収集できるので、コストパフォーマンスにも優れるでしょう。
参加者間の相互作用により、個別インタビューでは得られない本音や潜在的なニーズを引き出せる可能性も高まります。属性の違う複数グループ(例:性別・居住地域・前期高齢者と後期高齢者)で実施すれば、異なる属性間での特徴を比較できます。
グループインタビューのデメリット
グループインタビューを行うと、発言力の強い参加者に意見が偏りやすくなり、場合によっては全員から均等に意見を引き出せません。また、デリケートな話題は、ほかの参加者の前で話しづらいこともあるでしょう。
また、参加者が周囲の意見に合わせる「同調バイアス」が発生することがあり、本音を引き出せない可能性があります。ほかにも、進行役のスキルによって左右されるため、運営には熟練したモデレーターが不可欠です。
シニア向けグループインタビュー調査の設計手順とポイント
ここでは、「シニア・高齢者向けのグループインタビュー調査」を行う際の設計手順とポイントを解説します。
STEP1 調査目的と対象者数を明確にする
マーケティング課題や研究テーマを具体化し、調査を行う際の「理想とする対象者像」を設定します。また対象者の特性に応じて、グループ分けの方針も決定します。
同時に、対象者の人数も決めます。参加者全員が発言しやすいという背景から、1グループの人数は「6~8名」がおすすめです。とはいえ、保険商品の選択や医療サービスの体験など、詳細な情報が必要な場合には、1グループの人数を3~4名程度にするケースも見受けられます。
STEP2 グループ構成を決める
グループインタビューでは、参加者の年齢層や性別のバランスも重要です。たとえば、「60〜65歳の前期高齢者」と「75〜80歳の後期高齢者」では、デジタル機器への親和性や健康状態などが異なるでしょう。そのため、調査テーマに応じて年齢層をそろえる必要があります。
また、参加者が安心して本音を語れるよう、共通の生活背景や価値観をもつメンバーでグループを構成することも大切です。同じような経験や関心をもつ仲間同士であれば、本音に近い意見を引き出しやすいでしょう。
STEP3 時間・場所の設定
高齢者向けのグループインタビューでは、シニアに適した時間と場所の設定が不可欠です。開催時間は、午前中から午後3時頃までを推奨します。多くの高齢者は早起きの傾向があり、午後3時くらいまでが「集中力の高い状態」にあるからです。
会場選択では、「交通アクセスのよさ」「バリアフリー設備がある」「トイレが近い」「休憩スペースがある」などで検討するとよいでしょう。会場の雰囲気も重要であり、シニアが落ち着いて話せる静かで快適な環境を選びます。
STEP4 質問項目と進行計画の立案
グループインタビューをスムーズに進めるうえで、適切な質問と計画が必要です。
シニアへの質問項目は、具体的で理解しやすい表現を用い、専門用語をなるべく避けることが大切です。また進行計画を立てる際には、調査目的に応じて、「懐かしい話題から始めるか」や「現在の課題や未来への展望に焦点を当てるか」を判断します。質問の順序は、参加者が安心して発言できるよう、段階的に深い内容へ移行させるとよいでしょう。
STEP5 実施環境の整備
調査環境は、収集するデータの質にも影響するため、参加者が安心して臨める環境を整えましょう。温度管理に気をつけ、イスの高さや座り心地にも注意を払います。照明はまぶしくない設定で、視覚的な快適さも意識します。
資料を使う際には、文字サイズにも配慮しましょう。補聴器に対応した設備を検討するのも一案です。緊急時の医療対応や体調不良者への対応手順を設けるなど、安全面での配慮も必要です。
司会・モデレーターの重要性
グループインタビューの成否は、司会・モデレーターの力量に左右されるといっても過言ではありません。シニアを対象とする場合、シニアに知見がある経験豊富なモデレーターの存在が不可欠です。
優れたモデレーターは、発言の多いシニアと発言が少ないシニアのバランスを取りつつ、全員が意見を述べやすい雰囲気をつくります。聞き取りやすい話し方やわかりやすい言葉選びなど、シニアに適したコミュニケーションスキルも有しています。グループ全体をコントロールしながら、個々の参加者に寄り添った対応ができるモデレーターを選ぶことが、調査を成功させるポイントです。
シニア向けグループインタビューを実施する際の運用面でのコツ
続いて、シニア向けグループインタビューの「運用面」でのコツについて解説します。以下の内容を意識することで、適切な運用ができるでしょう。
インタビュー開始時によい雰囲気をつくる
インタビュー開始時によい雰囲気をつくることで、参加者の本音を引き出しやすくなります。よい雰囲気をつくれず、参加者が緊張したままだと、本音を語ってもらえない可能性があります。
最初の対応が重要であり、「参加者一人ひとりに声をかける」「座席案内や軽い世間話で緊張をほぐす」などを実施するとよいでしょう。ほかにも、参加者の服装や持ち物について会話を交わすなどもおすすめです。
スムーズな進行を意識する
インタビューは、計画通りに進行できることが理想です。しかし、予期せぬ状況になるケースも見受けられます。そのため、事前に進行計画を立てつつ、臨機応変に調整できる進行スキルが不可欠です。たとえば話題の逸脱があっても、調査目的から外れない範囲で、柔軟に対応します。
時間超過や議論の停滞を防ぐため、「状況に応じて軌道修正する」「インタビューの順序を変更する」などの技術も必要です。参加者の興味や反応を読み取りながら、臨機応変に進行することで、深い意見を引き出せます。
意見を深掘りする
本質的な意見を引き出すには、フォローアップの質問が欠かせません。単なる上辺の情報だけでは、真の課題や本音を理解しにくいからです。「具体的には?」「そのように感じた理由は?」などの質問を重ねながら、内面に存在する価値観や意見に迫るとよいでしょう。
ただし、過度な追及は参加者にストレスを与えるため、疲労や抵抗感につながる恐れがあります。参加者の反応を見ながら、適切な深掘りを心がけましょう。
専門家への相談を検討する
シニアにグループインタビューを行う際には、高齢者の心理や行動様式を理解する専門家の存在が必要です。「高齢者の身体的・認知的な部分」や「コミュニケーションの特性」を熟知した専門家であれば、シニアに配慮しながら、自然な対話を実現できるでしょう。
シニア特有の言葉遣いや文化的背景を踏まえた進行ができるため、信頼性の高いデータも収集しやすくなります。
グループインタビューの活用事例
製品開発での活用事例
A社では、シニア向け調理家電の開発を踏まえ、グループインタビューを実施しました。「らくらく電気調理器」の試作品を使用してもらい、操作性や使い勝手について率直な意見を聞きました。参加者同士の対話から、ボタンの大きさや画面の明るさ、安全機能に関する貴重な意見を収集できました。開発チームが想定していなかった改善点もわかり、より使いやすい製品デザインを実現しました。
サービス改善での活用事例
B地方銀行では、シニア層の金融サービス体験を改善するため、グループインタビューを行いました。ATMの操作性やオンラインバンキングにおける悩みなどを聞き取り、高齢者にとって親切なサービス設計を目指すことにしました。
参加者の経験や不安を共有することで、「画面のコントラスト調整」「音声ガイダンスの充実」「対面サポートの強化」など、具体的な改善策を導き出せました。
地域コミュニティでの活用事例
C町では、高齢者の地域生活支援システムをつくるにあたり、グループインタビューを活用しました。グループインタビューでは、地域の高齢者を集めて、「現在の生活課題や不安」「理想の地域支援」について議論しました。参加者同士の対話から、従来の行政サービスでは気づかれていなかった「移動支援」「見守りネットワーク」「交流の場づくり」など、細やかなニーズが明らかになり、地域コミュニティの課題解決につながりました。
シニア向けグループインタビューで専門家を選ぶポイント
シニア向けのグループインタビューを成功させるには、専門家の活用が欠かせません。ここでは、専門家を選ぶポイントについて解説します。
豊富な経験に基づくノウハウがある
高齢者は、自身の経験を語る際に、感情や思い出を語ることがあるでしょう。そのため、単なる質問と回答の往復では、適切な回答を得られない可能性があります。
豊富な経験がある専門家は、シニアの特性を理解しながら、本音を引き出す技術を有します。参加者の尊厳を保ちながら、率直な意見を収集するバランス感覚も、豊富な経験によって養われるものです。
細やかな配慮のできる運営体制
シニア層を対象としたグループインタビューでは、会場設営から進行まで、高齢者への配慮が求められます。身体に負担が少ないイスの選定・休憩時間の確保、わかりやすい会場案内など、細やかな気配りが必要です。また、「参加者の体調管理」「聞こえにくさへの対応」「ゆっくりとしたペースでのコミュニケーション」など、専門的なスキルも求められます。参加者に心理的な安心感を与え、率直な意見を引き出せるモデレーターをそろえることも、細やかな配慮ができる運営体制に直結するでしょう。
データの適切な分析力
グループインタビューを行う際に、高額な費用をかければ高品質な結果が得られるとは限りません。重要なのは、費用対効果の高さです。
業界の標準価格よりもリーズナブルでありながら、高い専門性と豊富な実績をもつ調査会社を活用することがベストです。例えばコスモラボでは、1グループ(5~6名)45万円からと、業界標準よりもリーズナブルな価格設定でありながら、シニア層の調査に対し質の高いサービスを提供できます。
まとめ:シニア向けグループインタビューは豊富な実績と専門性を誇るコスモラボへ
シニア層へのグループインタビューでは、参加者の特性を理解した調査設計と、きめ細やかな配慮が求められます。本記事で解説した「準備のポイント」や「実施時の注意点」を把握することで、シニアから価値ある意見を引き出せるでしょう。
ただし、適切なグループインタビューを実施するには、専門的な知識やノウハウが必要です。高齢者のグループインタビューに対し、確かな実績を有するコスモラボにご相談いただければ、的確な調査が可能です。詳しい資料をお求めの方は、以下より無料でご請求いただけます。